2013年06月17日

内科病棟376(狭心症入院記)カルテW

翌日、個室にずっと入ってられないから、隣の376号室に移された。
4人部屋だが、ほかの人は全員退院したらしく、私だけだった。
だから、個室同然であった。点滴もとれ、何よりも尿管もとれて、快適になった。
ただ、便秘になってしまった、入院するといつもこうなる、普段は毎日出る方だから、一日出なくてもいやなのである。食事は相変わらず、減塩食、私には汁物もついてこない。私の体調が安定してきたので、妻は自宅へ帰ってもらうことにした。
毎日大手スーパーのパートで働いているので、そうそう休めないからだった。
私としては、しばらくいて欲しかったがこればかりはしょうがない。

この日の夜、看護婦に下剤をもらって寝た。翌日、向かいに一人入院してこられた。大西さんという方だった。
「どないしはったん」
「お腹の調子が悪くて、とうとう我慢できずに入院ですわ、あんたは」
「狭心症ですわ、急にきて、そのまま入院ですわ」
「狭心症はきいつけんと、怖いで、私も7年前、地震の日になってえらいことやった、それから、肝硬変、胃がんで胃も取ってしまいましてなあ・・・」
大西さんは食事のあと、決してトレイを返しにいかなかった。必ず、看護婦があとで、かたずけにくる、変だなあと思っていた。
11時頃、母と子供3人が尼崎から見舞いに来てくれた。子供の顔をみるとほっとする。
まだまだ、死ねんなあと思った。午後からもう一人入院された、私の隣のベッドだった、どうも喘息らしい。堰がものすごい、最後はグェーとタンを出す。苦しそうで、大変だなあと思っていたらけど、これが夜寝れないはめになった。夜も1時間おきに、ゲーゲーするのである、さすがに眠れない・・・こればっかりはお互い様だから、がまんするしかなかった。。寝不足に便秘、翌日から快適ではなくなった。入院して3日目、この日は大雪になった。
夕方から、隣の個室が騒がしかった。私が入っていた個室だ。壁一枚だから、よく聞こえる。
どうも、入院患者が大声でわめきだしている。看護婦も怒鳴られている様子。2時間は続いた、迷惑千万、さすがの私も逆切れして、怒鳴り込みに行こうと思ったぐらいだ。

向かいの大西さんがトイレに立った。松葉杖でゆっくりと歩かれる、足も悪いなあとは思っていたが、この時はじめて、大西さんの足が一本であることに気づいた。
トイレから帰ってきた大西さんに私は尋ねた。
「大西さん、足はどないしはったの」毎日話をしていたから、私は自然と尋ねた。
「切断しましてなあ・・・・」
「えっ、事故か何かですか」
「10歳の時に切断しましてなあ・・・・・」
これ以上は聞けなかった・・・
「まあ、小山さん、人生はいろいろあるよ」
「・・・・・・・」
私は言葉が返せなかった、どれだけの苦労をされてきたんだろうと思うと頭が下がる。376号室はいろいろある。

次の日の午前中、肝機能と胃カメラの検査。胃カメラは生まれて初めてだった。
まず、胃の動きを一時的に止める注射、これが痛い。そして、水あめみたいな喉の部分麻酔を口に入れられて飲み込まずに喉で停める。
これが5分、でもつい飲んでしまう、これはこれで苦しいものだった。
しかし、本番はもっと辛いことになった。
「小山さん、どうぞ、左を下にして寝て下さいね、よだれが出ますからタオルをひきますね」
はじめてみた胃カメラは自分の想像していたものとは違った。
ほんとに小さい管で、その先端にカメラがついていると思っていたら、これはホースだ!ガスのゴム管を飲み込むと思ってもらったらいい。口にマウスピースをはめて、ホース!?を飲み込む、喉の当たったところでごくんと飲み込む、とたんに吐き気をもようし、ゲーゲーとむせた。
涙が出てきた、胃に到達すると、ぐるぐる回し始める。
ガスも出ているので、胃がふくらんで、痛い。すると、思いがけない会話が聞こえるではないか。
「このあたりでいいですか」
「もっと奥に入れて、そこそこ・・・・」
二人でやってて、検査医師はまだ見習い!?
隣の医師に聞きながらやってる!?ただでさえ、苦しいのに、俺は実験台か!?
15分ほどで終了したが、もう二度としたくない検査だ。胃カメラじゃねえ、ホースカメラが正式名だ!?さいわい、ポリープの類はなく、軽い胃炎とのことだった。

退院入院して一週間、いよいよ退院の日が来た。
家族はもっと入院しとけというが、前述したとおり夜が眠れず、これ以上は苦痛だった。
心臓の発作もおさまり、安定していた。
Y医師が病室へ来てくれた。
「小山さん、無理せず、まず、コレステロールを下げましょう、痩せることが一番です。薬は一生飲んでもらうことになります。万一発作が起こった時はすぐに病院へ来てください。応急処置のニトロの錠剤も出しておきます。激しい運動は控えて、散歩、水中歩行などからはじめてください、それではお大事に」
Y医師の的確な治療で私は退院できたと思っている、本当に感謝である。
最後に大西さんと挨拶をした。
「大西さん、がんばってくださいね、またどこかでお会いできるかも」
「私とは会わないほうがいいよ、合うときはお互い病室だから、ハハハ・・・」
丁寧にお辞儀をして376号室をあとにした。

退院の翌日、ハニーと湖畔の洒落たコーヒーショップへ行った。
琵琶湖の夕日が一番きれいに見える水ケ浜だ。
「俺、50まで生きれないかもしれんなあ、そんな気がする」
「何言ってるのよ、長生きしてもらわないと、パパ!!」
「そうだね、帰ろうか!」
琵琶湖をバックにショップの方に写真を撮ってもらった。
まだまだ湖畔を寒い風が駆け抜けるが、春はもうそこまで来ている。

次回最終回 結局原因は・・・・

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posted by こやまっち at 22:36| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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